【雑記】かぐや様が告ったけど終わらない
*競馬の話は出てきません 世界中がコロナ禍に見舞われた2020年
言うまでもなく日本のアニメ界も制作段階で大きな打撃を受け、いくつものビッグタイトルが延期の憂き目に。。。
そんな日本アニメ冬の時代に燦然と輝く作品
かぐや様は告らせたい? ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (取り消し線含めタイトル)
その原作漫画を紹介
☆かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~
前回紹介したアクタージュと真逆の恋愛成分100%
かつセクシー度ほぼ0%のほのぼの系ラブコメディ
主人公のJKは、 秀才や才媛の集う由緒正しい名門校・私立秀知院学園の生徒会副会長・四宮かぐや。
4大財閥の一つ四宮グループの総帥の娘であり、才色兼備のご令嬢。
(この設定をもってきてストーリー漫画にできるのは大川七瀬[注:少女漫画界の大御所CLAMPのストーリー担当]くらいであり、つまりこれはコメディであることを宣言しているのです)
もう一方の主人公である生徒会長・白銀御行は勉学においてはかぐやを凌ぐ努力型の天才(庶民)。
この二人と、生徒会メンバーを中心とした生徒たちが繰り広げる日常系のお話。
かぐやと御行はお互いに「恋愛において告白するのは負け」と考え「相手に告白させる」ことを決意。
お互いに戦略を練ったりあの手この手を仕掛けていくのですが・・・
8割がた独白とナレーションで進むという展開はある意味でリアルでもあり、非凡な設定とあいまって不思議な親近感とおかしさをもたらしてくれます。
この告白させるという試みは告白するよりも何倍も相手のことを知り、慮り、はたらきかける必要があるんですね。
かぐやの名前からも分かる通り、モチーフとなった竹取物語とはまったく別物の、しかしながら同じくらい献身的な恋愛模様で魅せてくれます。
この作品のおもしろい点はもうひとつ。
日常系としてのタブーを犯していることにあります。
それは、時間の流れ
サザエさんやドラえもんといった日常系の古典名作が、 それを切り落とすことによって確立したこの分野の王道手法を、この作品では用いていないのです。
高校生活において時間の影響は絶大で 入学からの各種イベントを経て、進路選択・受験や就職活動そして卒業へ という流れの中で生徒たちの心情は大きく変化していくことになります。
これを切り捨て、
何度も繰り返される運動会やバレンタインデーといった漫画ネタ的イベントや
くっつきそうでくっつかないモジモジ感満載な恋愛模様を楽しむのが日常系ラブコメの鉄則といえます(個人的見解です)。
しかしながらこの作品の登場人物は進級してしまい、代替わりの生徒会選挙や進路相談といったイベントを迎え、終わりを意識させてくれます。
それでいて1話目で半年を一コマで消費する荒業には感服します。
もちろんこういった漫画が唯一無二なわけでもなく、「あずまんが大王」などでも同様の手法が用いられ、ゆるゆる日常系でありながら卒業によって最終回をむかえることとなりました。
最近ではジャンプの「ぼくたちは勉強ができない」なんかもこれなんで珍しくはないんですがね・・・
高度成長期における日々変わっていく日常の中で「変わらない昨日」を閉じ込めることによって成立した昭和の日常系漫画
それに対して
代り映えのない日常の中に「変わっていく明日」を意識させることが平成~令和の日常系漫画の王道なのかもしれませんね
言うまでもなく、終わりを意識することは今を変える原動力であり、否応なしに恋愛は進展します。
当初は詰将棋のような戦略性を売りにしていたストーリー展開は
わりと序盤からただのツンデレ合戦に
そしてめでたく付き合いだした二人のデレデレ合戦へと・・・
やたら長くなったので締めますが
原作おもしろいけどアニメが最高です
独白のリズム、テンションとアニメとの相性が抜群に良く、まちがいなく近年の最高傑作のひとつでしょう。
見たことない人はぜひ