【雑記】アクタージュはスポ根マンガなのか
*競馬の話は出てきません
月曜日は小難しい話はお休みで雑記的なものを。
競馬に限らずギャンブルはいかに勝てない勝負を避けるかが大事。
買わない時間は漫画でも読んで過ごしましょう。
どうせなら面白い漫画がいいということでお気に入りを紹介。
☆アクタージュ act-age
原作:マツキタツヤ
漫画:宇佐崎しろ
ジャンプなのに主人公が女子高生(JK)。
ジャンプなのにモチーフが演劇。
ジャンプなのに必殺技とか一切なし(人間離れした特技はあります)。
美男美女ばかり出てくるのに恋愛要素なし・エロなしでお子様と一緒に楽しめます。(不倫の話とかは出てきます)
主人公JK・夜凪景の特技は自分の過去の感情を正確に追体験できるメソッド演技。
その才能を見出され、女優として、また人間として成長していく様子と、彼女の生い立ちが小出しにされながら絡み合ってストーリーが進んでいきます。
様々な困難にぶつかりながら、友情・努力・勝利で乗り越えていくのは、まさに王道ジャンプ漫画。
「ガラスの仮面のパクリだ」なんて話もありますが、モチーフが同じならかぶる場面もあるでしょう。タッチとH2なんて途中で入れ替えても気づかない。
演劇のシーンなんて面白いの?と思う方、ご安心ください。
芝居・演劇シーンでは観客席や周りで見ているほぼモブのキャラ達が、異常に良い視力と見事に統率された感性でもって代わる代わる解説してくれます。
ド○ベンの試合シーンのように。(この解説がないとよく分からない。)
そう、アクタージュはまさに少年漫画向けのスポ根漫画なのです。
景は常識知らずで、空気も読めなくてエキセントリックな性格。
そのため、当初は敵対する人や嫌うキャラも出てきます。
でも、可愛くて&才能があって&ひたむきに努力するのでみんな打ち解けます。
そのへん非常にリアルですね。
現実にはそんな3拍子そろうことめったにないから人間関係もつれるんですよ。
フィクションですよフィクション。漫画だから。
薦めてるのかディスってるのか分からなくなってきましたが、中身は文句なしにおもしろいです。
ストーリーは丁寧かつ緻密で、伏線をしっかり張りながら予想を上回る展開で魅せてくれます。
演劇論・文学論もくどくなく(内容が的確かどうかは、詳しくないので避けます)、絵もシンプルだけどきれいなキャラなので、年代性別問わず楽しめます。萌えはない。
そして何といってもキャラがみんな良い人。
フ○ーザ様のように一方的に蹂躙するような悪役は出てきません。
最初は景を誤解してたり、成り行きで揉めたりした人たちも、やがて景を理解し引き付けられていきます。異常に非常に物分かりのいい方々です。
登場時は真性悪役を匂わせた天知も、いつの間にか景に活躍の舞台を与える立場に。
景のもつ魅力がそうさせるという解釈でいいのでしょうか。
コミックス11巻での阿良他(この時は立場上、景のライバル)のセリフが、そのへんを象徴しています
・・・これだよ夜凪の怖いところは
共演者を本気にさせてしまう
たったの一度も本気になれないまま消えてゆく役者が大半のこの世界で
これは脅威だよ
ひとは本気で何かに取り組むとき 勝ち負けとかメンツとかモラルとか、恥とか外聞とか打算とか関係なくなるもの
そしてそういった人間同士が根深く揉めることって(一時的にぶつかることはあっても)ない
景は演技のことばかり考えていて、ひたすら利己的で自己中なようだけど
その実、ブレずに常に本気であるということで周りに影響を与え続ける、そんな存在。
『銀河鉄道の夜』の表現を借りれば、「ほんとうにいいこと」をすることで「本当の幸ひ」に至ろうとする、ということになりますか。
ストーリー展開として王道を貫きながら
それぞれの両面にしっかりと光を当てて掘り下げていて、読者の心境によってその時々で感じ方が変わってくる良い作品です。
中学~高校あたりの必読本にするとよい。
あと漫画としての特徴として、コミックスの作り方がうまい。 1巻の終わりの引きがうまいというか、必ず続きが気になって気になって仕方なくなるように話を切ってくれてます。なので、これから読もうという人は大人買い推奨です。